2025/03/13
エシカルファッションとしてのサステナブルな選択:環境に優しいニット製品の魅力と選び方
朝、目が覚めて窓を開けると、ひんやりした空気が肌をかすめる。そんな日には、ふわりと包み込むようなニットを手に取りたくなる。やわらかな編み目、心地よい温もり。ふと、その瞬間、疑問が浮かんだ。
「このニットは環境に優しいのだろうか?」
ファッションはただ着るものではない。
私たちの価値観を映し出し、自分を主張するものだ。
エシカルファッションが語るのは、環境や人々との共生。
大量消費の波に流されず、魅力の一着を大切にすることこそが、サステナブルな生き方なのではないだろうか。
ファッション業界は環境負荷が高い産業のひとつであり、大量生産・大量消費・大量廃棄されています。その中でもニット製品は、素材や生産方法を工夫することで、よりサステナブルな選び方が可能です。エシカルファッションの観点から、環境に優しいニット製品の魅力と選び方について紹介します。
1.ニットが紡ぐ魅力のストーリー
ニットには物語があります。ひと針ひと針、編まれた時間。どこかの羊飼いが丹精込めて育てた羊から刈られる羊毛。あるいは再生された糸が新たな製品に変わる瞬間。これら全てにエシカルファッションの精神が宿っています。
祖母の手編みのセーター、大切な人から贈られて長年使い続けたニット。エシカルなファッションとは、丹精込めて作られた洋服と時間を再び編みこんでいくこととも言えます。
私はこういう物を使いたい、着たい。それは、素材の選び方、生産背景、使い方までに自分の意思を巡らせ、サステナブルで魅力的な生き方を実践していくことでもあります。
2.ニットに自分のエシカルを縫いこむ
とくに3つの観点から自分ならではのエシカルを考えていきましょう。
①物語を持つ素材の選び方
エシカルなニットの選ぶ方は、まずは使われている素材に着目します。
オーガニックコットンやリサイクルウール、RWS(責任あるウール基準)認証の素材は、環境への影響を最小限に抑えながら生産されています。
サステナブルな素材は、単なるエコではなく、どんな未来を描くかの小さな意思決定になります。
②生産者の手仕事に敬意を払う
どこで、誰が作ったのか。その背景にある物語を知ることは、エシカルなファッションを着こなす第一歩です。
正当な対価を受け取っていることの証明となるフェアトレード認証は、作り手の労働環境を守り、直接見ない作業者の人生に敬意を払うことでもあります。
いくつもの段階の作り手たちが、みな魅力ある人生を生きれること、それがサステナブルな選択となります。
③「長く着る」という選択
自分の中に生まれるエシカルとは、エシカルと呼ばれるジャンルを消費することではありません。そもそもニットは何年も丁寧に着ることができる服です。自然素材の持つ力を借り、着るたびに風合いを深めていくなかにこそ、自分の魅力的なエシカルが秘められていくのです。
3.サステナブル素材の選び方
実際にたくさんの洋服を目にして、どうやってこれはサステナブルで環境に優しい素材と知ることができるのか。最初は戸惑うことが多いと思います。
①素材を確認する
環境に優しいニットは、洋服を売るほうもその魅力を強調していることが多いです。
オーガニックコットンは農薬や化学肥料を使用せずに栽培された綿花を使用します。
農薬や化学肥料の適度な使用は収量を増加させ、生産者の収入増加に寄与する面も忘れてはいけません。
そのうえで、過剰な農薬、化学肥料の使用が土壌の栄養状態を変えてしまい、
微生物から始まる生態系を崩してしまいます。
結果的に土壌の保水力がなくなり、痩せた土地になってしまったりします。
農薬も特定の生物が減ることで、ある生物は大量発生することがあります。
エシカルなコットンを選ぶということは、これらの環境問題に加担しないという宣言でもあります。
RWS認証と呼ばれるウールがあります。
これは責任あるウール基準(Responsible Wool Standard)を満たしていることを証明します。
羊毛を生産するために、羊たちを劣悪な環境で育てたり、泣かせるような刈り方を良しとしません。
見てないことは起きてないことではないのです。
エシカルな気持ちとは羊から羊毛をおすそ分けしてもらうという感覚ではないでしょうか。
ニットはリサイクルができるのも魅力です。リサイクルウール、リサイクルカシミアなどと呼ばれており、既存の素材を再利用し、新たな資源消費を抑えます。
カシミアは、その圧倒的な魅力から、モンゴルでの過剰な放牧と、草原の喪失を招いています。そこでカシミアに代わり、アルパカウールを使うことで、地球のバランスを考えることができます。なぜなら、アルパカが育つ南米はアンデス山脈に多く生息しています。標高の高いアンデス山脈は豊富な雨量をもたらし、それは草木を瑞々しく成長させてくれます。そもそも内陸性のモンゴル高原との違いから、アルパカ素材を使うことでもエシカルな物語となります。
②製造過程の透明性を確認する
エシカルファッションを実践するブランドは、生産過程の透明性を確保し、発信していることが多いです。
例えば、どこで誰が生産しているか、労働環境は適正か、
フェアトレード認証はあるか、動物福祉に配慮しているかなどです。
これらはブランドの公式サイトや、洋服のタグ、ポップなどに書いてあることが多いです。
あ、この情報はエシカルなんだなと気づいたら、そこに佇むストーリーを想像してみましょう。
4.代表的な認証を知る
複雑だなと思いがちなエシカルファッションですが、第一歩の選び方は認証のあるものを手に取るのが気軽です。
①RWS(責任あるウール基準)認証
さきほど紹介したRWS(Responsible Wool Standard)は、羊の福祉と土地の管理に配慮したウールの生産を認証する基準です。この認証を取得したウールは、動物虐待のない環境で生産され、サステナブルな方法で管理されています。
② GOTS(グローバル・オーガニック・テキスタイル基準)
GOTS(Global Organic Textile Standard)は、有機繊維の認証基準で、オーガニックコットンやウールなどの天然素材が環境負荷を抑えて生産されていることを保証します。
③ フェアトレード認証
フェアトレード認証の製品は、生産者が適正な賃金を受け取り、労働環境が守られていることを保証するものです。労働搾取を避け、持続可能な生産を支援する選び方を実践するにあたって重要な基準です。
④ OEKO-TEX(エコテックス)認証
OEKO-TEX認証は、製品に有害な化学物質が含まれていないことを保証するサステナブル基準であり、肌に優しく魅力的で環境負荷の少ない製品であることを証明します。
環境に優しいニット製品を選び方は、地球と自分とのあり方、見えないところにいる動物や作業者に対する敬意の持ち方、時間をかけて服をどのように紡いでいくかというオリジナリティに繋がります。単にエシカルなものに迎合するということではない、自分自身の魅力的なエシカル認証を育ててみてください。
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